山調子 今日の山の調子を、数字で。
解説ページ 収録 2,890 地点の実測値にもとづく 予報は出していません

モデル標高と気温減率について

このサイトは、標高差から気温を換算した値を出していません。 出しているのは「モデル標高」「実標高」「その差」の3つだけです。 気温減率は条件によって倍以上の幅があり、一つの数字に丸めると、実際より正確に見えてしまうからです。 換算が必要なときは、下の幅から自分で選んで、自分で計算してください。

モデルの中の山は、実際の山より低い

数値予報モデルは、地球を四角い格子に切って計算します。格子の中の地形は1つの高さに代表させるので、 とがった山頂はならされ、深い谷は埋まります。格子が粗いほど、山は低くなります。

モデルが使っている標高は「地表ジオポテンシャル高度データ」と呼ばれるもので、国土地理院の標高とは別物です。 気象庁が配信しているモデル標高を、そのまま表示しています。

収録 2,890 地点で、実際どれくらい違うか

実標高が分かっている 2,176 地点について、 実標高 − モデル標高を集計しました(実標高が未収録の 714 地点は除いています)。

5km メソモデル
いちばん小さい差
-462m
下から1割の地点
+52m
まん中の地点
+386m
上から1割の地点
+838m
いちばん大きい差
+2,191m
モデルのほうが高い 97 地点(4%)
0 〜 250 m 663 地点(30%)
250 〜 500 m 606 地点(28%)
500 〜 750 m 491 地点(23%)
750 〜 1,000 m 205 地点(9%)
1,000 m 以上 114 地点(5%)
モデルのほうが高く出る地点も 97 地点あります(峠や谷の地点に多い)。 モデル標高の版:配信資料に関する技術情報 第648号・202505版
10km 全球モデル(日本域)
いちばん小さい差
-518m
下から1割の地点
+20m
まん中の地点
+459m
上から1割の地点
+1,083m
いちばん大きい差
+2,682m
モデルのほうが高い 186 地点(9%)
0 〜 250 m 521 地点(24%)
250 〜 500 m 451 地点(21%)
500 〜 750 m 432 地点(20%)
750 〜 1,000 m 291 地点(13%)
1,000 m 以上 295 地点(14%)
モデルのほうが高く出る地点も 186 地点あります(峠や谷の地点に多い)。 モデル標高の版:配信資料に関する技術情報 第601号・202211版
5km(メソモデル)と10km(全球モデル(日本域))のモデル標高は、別々のデータです。 格子の位置が重なっていても値は違うので、どちらか一方をもう一方の代わりに使ってはいません。

代表的な地点の実際の値

地点 実標高 5kmモデル標高 実 − 5km 10kmモデル標高 実 − 10km
富士山<剣ヶ峯><剣ヶ峯>山梨県 3,776 1,585 +2,191 1,094 +2,682
奥穂高岳長野県 3,190 2,026 +1,164 1,806 +1,384
槍ヶ岳長野県 3,180 2,197 +983 1,806 +1,374
小川山長野県 2,418 1,778 +640 1,454 +964
瑞牆山山梨県 2,230 1,529 +701 1,454 +776
甲武信ヶ岳埼玉県 2,475 1,686 +789 1,440 +1,035
単位はすべて m です。同じ格子に入る山は、モデル標高も同じ値になります。 どの山が同じ格子に入るかは、各地点ページの「この地点が入る格子点」で確認できます。

気温減率には、これだけの幅がある

高いところほど気温が下がる割合を気温減率といいます。 ところがこの割合は条件によって倍以上変わり、逆転層ができているときは符号まで逆になります。 だから「この1つの値が正しい」という数字はありません。

どんなとき目安の幅注意
湿潤断熱減率雲ができていて、水蒸気が凝結しながら上がっているとき 0.4 〜 0.5℃/100m 凝結の熱が出るぶん、下がり方がゆるくなる。梅雨や夏の午後の山はこちらに近い
山の斜面でよく目安に使われる値登山の本や現地の経験則でいちばん見かける範囲 0.5 〜 0.6℃/100m 「だいたいこれくらい」であって、根拠のある定数ではない
国際標準大気(ICAO)航空や気圧高度計の計算で使う、取り決めとしての値 0.65℃/100m 実際の大気がこの値になるという意味ではない。あくまで基準
乾燥断熱減率空気が乾いていて、上下によくかき混ぜられているとき 1.0℃/100m よく晴れて風のある日の日中。物理的にはこれが上限に近い
逆転層ができているとき晴れた冬の朝、冷たい空気が盆地や谷にたまっているとき 当てはまらない 上のほうが暖かい。減率の符号が逆になるので、どの値を使っても向きから外れる
上の幅の下端と上端では、同じ標高差に対して2倍以上ちがう答えになります。 本サイトがどれか1つを選んで表示すると、選んだこと自体が見えなくなります。だから選びません。

自分で換算するときの考え方

  1. 地点ページで、その時間帯を担当するモデルのモデル標高を見る。
  2. 上の表から、その日の空模様に近い条件のを選ぶ。1つに決めず、下端と上端の両方で見ておく。
  3. 差を 100 で割った値に、選んだ幅を当てはめる。幅で当てはめるので、答えも幅で出ます。
  4. 格子点の気温は格子の標高での値です。山頂の値ではありません。差のぶんだけ、答えの不確かさも大きくなります。
この手順を本サイトが代わりに実行することはありません。 数値予報モデルの計算結果は無加工のまま出し、換算するかどうかも、どの幅を使うかも、利用者が決めるものと考えています。

標高差では直せない要素

気温は幅つきなら見当がつきますが、次の要素は標高差からは求められません

要素なぜ直せないか
風速稜線は地形で加速し、谷は減速する。標高だけでは決まらない
降水量風上斜面で増え、風下で減る。格子の標高と対応しない
雲量・日射雲は層ごとにできる。地面の標高との対応がない
湿度気温が変われば相対湿度も変わるため、標高補正が二重になる
稜線の風と、山頂の降水は、格子点の値から作り直すことができません。 モデルの格子の中の、なだらかな地形の上での計算結果として見てください。
モデル標高の出典: 気象庁「地表ジオポテンシャル高度データ」(CC-BY 4.0) / 気象庁「地表ジオポテンシャル高度データ」(CC-BY 4.0)
メソモデル(5km):配信資料に関する技術情報 第648号・202505版 / 全球モデル(日本域)(10km):配信資料に関する技術情報 第601号・202211版
実標高:国土地理院「日本の主な山岳標高」および © OpenStreetMap contributors(ODbL 1.0)
このページは解説であり、予報ではありません。
本サイトは、数値予報モデルの計算結果と観測実績を無加工のまま表示しています。 標高差にもとづく補正や換算は行っていません。状態は必ず現地でご確認ください。
天気予報は気象庁または気象予報士が作成したものをご利用ください。